Kindle Unlimitedのカルメンが短縮版だった
Kindle Unlimitedで、表紙に惹かれてダウンロードしてみたメリメのカルメンが短縮版でした、というだけのお話し。
この本は、Kindleアーカイブの一冊で、無償公開されている国会図書館のデジタルコレクションを、Kindleストアで108円で販売するという阿漕な商売をしていたものが、Unlimitedの開始で無料で読めるようになったという、曰くつき?のやつです。
開くと巻頭一番に『エッセンス叢書発刊の趣旨』(『』内引用。入力が面倒なので旧字旧かなを新字新かなに改めています。以下同様)が掲げられており、圧縮すると凡そ以下のようなことが述べられています。
(近頃流行の縮刷は結構なことは結構だが、と前置きした上で)『これだけではまだ、今日のように忙しい生活をしている人々の、限りなき読書欲を満足さす上に十分であるとは申されません』
『乃ち、縮刷の次ぎに来るべき要求は、当然この「内容の縮刷」でなければなりません』
『目の回るほど忙しい人々へ、その人達の読みたいと思う傑作名著を、純粋のエッセンスだけに煎じ詰めて供給する。これこそ、今日の一般読書界が痛切に要求している本当の縮刷ではありますまいか』
『大正三年七月 青年学芸社同人』
現代でも 「100分 de 名著」とか漫画で読む~とかありますが、大正の時分からすでにこういうのあったのね、と感心した次第です。
あと、カルメンってもともとそんなに長い小説じゃないので、どの辺が縮められているのか興味が沸きました。
本編はおそらく100ページ弱なのですが、下記の岩波版も108ページですし、私が持っている堀口大学訳の新潮文庫版も106ページで、この作品については実はあまり短縮されていないんじゃないかという気もします。
この機会に読み直してみようかなと思いました。
前述のとおり、国会図書館のサイトでも無償で読めます。